みなさん、こんにちは。奈良県生駒市の井上勇夫税理士事務所 税理士いのうえ君です。
今日は6月9日(日)です。
昨日のブログは、2日間に渡って、『経営「小さな会社の(必勝の経営術①)ランチェスター法則で経営を再点検してみよう!」』について書きました。
今日のブログは、『消費税「価格転嫁と価格表示への対応①」増税分をきちんと価格転嫁しよう!』について書きますね。
いよいよ今年10月1日より消費税が10%に引き上げられます。ただし、軽減税率8%と経過措置が適用される場合は対象外ですが・・消費税とは、製造業者から卸売業者、小売業者、消費者へと製品やサービスなどが流通する各取引段階で、販売価格に転嫁され最終的には消費者が負担する税金になります。各取引段階で転嫁された消費税は、事業者が納税することになっています。増税するにあたり、販売価格に転嫁できないと、自社が増税分を負担することになり、売上や利益が減少し資金繰りにも悪影響を及ぼすことになります。価格転嫁の有無によって、どの程度売上や利益への影響があるのかシュミレーションしておきたいものです。。
増税分の価格転嫁について、消費税の引き上げ時にすべての商品・サービスの価格を一律に引き上げなければならないといった認識を持っている事業者も少なくありませんが、過去の税率引き上げ時に「便乗値上げ」といった風潮があったことが影響しています。昨年11月、政府は事業者が消費税率引き上げに伴う価格転嫁にあたって、柔軟な価格対応ができるよう「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」を公表しました。ガイドラインでは、税率引上げ前であっても、需要に応じて値上げを行うなど、経営判断に基づいて価格設定することは、事業者の自由であって何ら問題はないと明確にされています。消費者を対象とする小売業や外食業などの事業者については、すべての商品・サービスに対し一律に増税分を価格転嫁する必要はなく、同業者との競合や市場動向などの様々な事情を考慮して、転嫁しやすい商品や転嫁しにくい商品など、個別に販売価格を見直すことで、商品全体で増税分を転嫁する方法でもよいとされています。例えば、店内飲食(10%)と持ち帰り(8%)の税込価格を同額に設定しても問題はありませんし、また、増税を機に、既存商品の改良や新商品開発で新価格設定するなどいろんな方法がありますので、自社の現状に合った方法で価格転嫁を考えてください。
事業者同士の取引については、税率の引上げに見合う適正な価格転嫁が行えるよう「消費税転嫁対策特別措置法」によって、一定の買い手が仕入先への減額や買いたたき、本体価格(税抜価格)での交渉の拒否などを禁じています。
このように、消費税率が引き上げられても商品やサービスに価格転嫁をしないと、増税分は自社持ちになりますので、注意しましょう。
【出典】TKC事務所通信 2019年6月号より